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2012.10.08article
アイルランド人とハロウィーン
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アイルランド人とハロウィーン
今年も、お化けカボチャが町を飾る時期がやって来ました。ここではセナンが妖精や幽霊がすぐとなりに住んでいた頃の、昔のアイルランドにご招待します。

今年も、お化けカボチャが町を飾る時期がやって来ました。ここではセナンが妖精や幽霊がすぐとなりに住んでいた頃の、昔のアイルランドにご招待します。

 


アイルランド人とハロウィーン

 

ハロウィーンである10月の最後の日は、世界の多くの国々で子供や大人にとって楽しくて浮かれ騒ぐことができる日です。ハロウィーンの夜、子供は恐ろしいコスチュームを付け、近所の家をまわってトリック・オア・トリート (trick or treat :ご褒美をくれないといたずらするぞ) と叫びます。子供達は、普通は、あめやチョコレートをトリートとしてもらいます。もしトリートが気に入らなければ、いたずらをして良いことになっています。

ハロウィーンは数千年前のケルト人の国々、特にアイルランドで行われていた古代の祭事でした。中世になるとそれが全ての聖人を称えるキリスト教の祭事に変わりました。そのころに、現在のハロウィーンという名前が付きました。ハロウィーン:Halloween という名の意味は、「All Hallows Eve [ 諸聖人の日 (万聖節) の前夜] 」や、 「All Hallows」もしくは「All Hallowmas」や「All Saints」「All Souls' Day」といわれる11月1日の、前の晩という意味です。古い英語で「Hallow」は神聖にするとか、清めるといった意味がありました。キリスト教徒は All Hallows Day を天国にいる、有名、無名の全ての聖人を称える日としていました。これは1年の中でもとても重要な宗教的な日として考えられていました。

 

このキリスト教との関係にもかかわらず、現代のハロウィーンは、キリスト教以前のアイルランドやスコットランド、ウェールズのケルト人によって祝われていた古代の祭り、Samhain (サウェン、サワーンと発音) に起源があります。Samhain は収穫期の終りと冬の始まり、そして一年の後半の始まりを意味しました。ケルト人のアイルランドでは夏は10月31日に終りました。この日の晩は古代のアイルランド人にとっては、物事が移り変わる時で、時間と空間が一時的に曖昧な状態になり、霊界とこの世とが交差する時でした。ハロウィーンの夜は死者や霊魂をなだめる時でした。この夜には死者の霊が、魔女や幽霊、妖精と共に現れると人々は信じていました。悪霊を追い払うために丘の上に焚き火が焚かれました。生きている者達は取りつかれるのはいやです。そこでハロウィーンの夜、町の人々は家の明かりを消して、その家が寒くて魅力のない場所に見えるようにしました。そして、恐ろしい格好をして町を音を立てながら練り歩き、取り付こうとする霊を追い払おうとしました。

 

アイルランドのハロウィーンで一番興味深いことは、妖精や他の生き物達との関係です。人々は妖精が古い丘に住んでいると信じていて、邪魔をしないように心がけていました。特にハロウィーンは気をつけました。妖精はこの夜、あちこちを歩いて一緒に住むための小さい子供を探すと言われていたのです。家の母親達は夕食のあとで食器を洗った水を捨てるときに、「水がおまえの方に行くよ」という意味のアイルランド語 「seachain」 と叫んで捨てました。これは、たまたま通りかかった妖精に警告するためです。そして妖精が水をよけて通るのです。これはもし妖精に水をかけると仕返しされてしまうからです。妖精は人を捕まえようと魅惑的な音楽も奏でました。また、妖精の丘の中心に埋められている宝から、かすかな光が見えるときがありました。こんな時は、急いでそこを立ち去らなければなりませでした。さもないと永遠に魔法をかけられてしまうのです。

 

ハロウィーンはまた、結婚や幸運、そして健康などを占うときでもありました。この伝統は現代でも続いています。例えば、ちょうど日本人がおみくじで幸運かどうかを占うように、昔アイルランドでは、若者は未来を占ういろいろな方法を知っていました。その一つは、木の実にカップルの男女の名前を付けて火のそばに置くというものです。もし、木の実がはじけて離れたら、そのカップルは問題の多い結婚生活をすることになるでしょう。その他に、テーブルの上に4枚の皿を置いて、それぞれに、水、指輪、土、塩、を入れるというものもあります。目隠しをした女の子、もしくは男の子が、お皿を触ります。水のお皿を触ったら、将来外国に住むことになるでしょう。指輪は結婚すること、土は独身、そして塩は成功を意味します。

 

ハロウィーンには特別な食べ物が多くありますが、そのいくつかは占いに使われます。中でも一番有名なのが Barnbrack [バーンブレック] というアイルランドで好まれているアイリッシュ・レーズン・ケーキです。皆がこれを楽しみにしていますが、それは美味しいからというだけではなく、ケーキの中に隠された特別なものがあるからです。もし、ケーキの中に指輪が入っていたら、早婚を意味します。コインかそら豆が入っていたらお金持ちになるということ。ボタンは独身、えんどう豆は貧乏になることを意味します。このように、昔のアイルランドでのハロウィーンは楽しいものでした。確かに、妖精に捕まったり、彼らを傷つけたりしないよう気を付けないとなりませんでしたが、皆楽しいときを過ごしました。しかし、19世紀にひどい飢饉が起こり、多くの人々が、生きるためや、職を求めて国を出て行かなければなりませんでした。100万人以上がこの飢饉で命を落とし、100万人以上がアメリカに行きました。そして、アイルランド移民はハロウィーンの伝統も一緒に持っていったのでした。

 

アメリカでは、ハロウィーンの前日、大きなカボチャで jack-o'-lantern [ジャック・オ・ランタン] を忙しそうに作る子供達を多く見かけます。このジャック・オ・ランタン、もしくは、Jack of the Lantern、ちょうちんのジャック、の習慣はアイルランドの民話から来ています。昔、ぺてん師で大酒飲みのジャックという男がいました。ジャックは悪魔をだまして木の上に登らせました。するとジャックは木に十字架を彫って悪魔が降りてこられないようにしてしまいました。そしてジャックは悪魔と取引をしました。今後、誘惑しようとしなければ、木から降ろしてやると。民話によると、ジャックが死んで天国に入ろうとしましたが、生前の行いが悪かったため断られました。そして地獄にも入れてもらえませんでした。悪魔をだましたからです。代わりに悪魔はジャックに、天国と地獄の間の暗闇で道を照らすためのロウソクを渡しました。ジャックは火を扱い易くするためにカブをくりぬいてロウソクを中に入れました。アイルランドでは、野原で遠くに明かりを見つけると、ちょうちんのジャックがあてども無くさまよっていると言ったりします。

 

アイルランド移民がアメリカにたどり着いた時、カボチャが多くあることを見つけました。カボチャもくりぬき易くロウソクを入れ易いので、カブの代わりにカボチャを使い始めました。今ではカボチャがハロウィーンのシンボルとなりました。今日のハロウィーンはかつてアイルランド人が祝っていたハロウィーンとは違いますが、とても楽しく、日本を含めた多くの国々で、若者からお年寄りまでにも愛されています。今度、怖い顔のカボチャや恐ろしい格好をした人を見たら、アイルランド人が、かつて祝っていたハロウィーンや Samhain も思い出してみてください。

By セナン・フォックス
[ 2005年10月]
 

 

 

 

        Halloween.com: http://www.halloween.com
Halloween-online: http://www.halloween-online.com
Derry City Council – Hallowe'en Carnival: http://campaign.derrycity.gov.uk/

   

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