アイリッシュパブは日本でもすっかりおなじみになりましたね。でも、まだ行ったことがないという方のために、独自のパブの楽しみ方を教えてもらいました。
アイリッシュパブは日本でもすっかりおなじみになりましたね。でも、まだ行ったことがないという方のために、独自のパブの楽しみ方を教えてもらいました。
日本のアイリッシュパブの利用法
まだアイリッシュパブ・デビューをしていない人のために、アイリッシュパブを10倍楽しむ方法です。表現がちょっと古いですか。なら、アイリッシュパブはなぜ潰れないのか、とか、パブの品格、のほうがウェブで人気が出るでしょうか?
まず似たような欧米スタイルの飲み処がありますが、違いをお教えしましょう。
アメリカン・バー | : | ウイスキーグラスがバーカウンターを、スーと滑って、ポーカーをやっていた客が殴り合いの大乱闘になるところ |
ブリティッシュ・パブ (イングリッシュ・パブ) |
: | 老若男女がエールを飲みながら静かに文学や競馬の話をしているところ |
アイリッシュ・パブ | : | 頼んでもいないのに客がに勝手に歌や演奏を始めるところ |
どうです、イメージが湧きましたか?冗談ではなく真剣です。
アイリッシュパブなんて居酒屋と同じじゃないかという方がいるかもしれませんが、アイリッシュパブの居酒屋との大きな違いの一つは、キャッシュ・オン・デリバリー(COD)です。これが結構大きな違いなのです。
キャッシュ・オン・デリバリー
COD はドリンクをもらう際に、そのつど代金を払うシステムです。その辺のカフェやハンバーガー店と同じです。必要も無いお通しでお金を取られることもなければ、テーブルでチャージされているのではないので、2時間したら追い出されることもありません。ふらっと入って、一杯飲んで去ることもできます。コーヒーでカフェのように待ち合わせにも利用できます。
サッカー観戦
今ではパブでのサッカー観戦が人気ですが、これもCODのなせる技です。 混雑して誰がどのテーブルにいるのか分からないサッカー観戦でも、CODなのでお店はビール代を取りはぐれる心配はありません。ですから私たちも1人でも自由に出入りして、好みのチームを応援できます。選手が目当ての方は、好きな選手が交代したら、途中で応援するチームを替えてテーブルを移っても平気です。多くの人と肩を並べて同じチームを応援できるのは、家で声を潜めて観戦するより数倍楽しいです。
アイルランドのビール
ギネスビールはただの黒ビールじゃないかと思ってませんか?ギネスはスタウト (Stout) です。日本で一般的な薄黄色いビールはドイツから来たラガー (Lager) です。上面発酵 (エール、スタウト) や下面発酵 (ラガー) といった技術的なことは飲み専門なので分かりませんが、あの味は日本の黒ビールとは別物です。証拠に黒ビールの泡にはシャムロックは描けません。黒ビールは嫌いでもギネスはトライしてみてください。パイントグラスより小さなハーフパイントもあります。ちなみに煉瓦色のキルケニーはエール (Ale) になります。
焼酎サワーがないし・・・
ビールは飲まないし、パブにはサワーも無いし、という方にはサイダー(Cider) はどうでしょう。日本では気取ってフランス語でシードルといっているリンゴ酒です。アイルランドにはマグナース (Magners – アイルランド国内では Bulmers ; イギリスのBulmersとは別) というブランドがあります。ラガーのような色で周りのビール党とも違和感はないし、ちょっとオシャレに見えます。
ハッピーアワー
パブが忙しくなるのは夜になってから。そこで比較的静かな夕方の時間帯はハッピーアワーとしてドリンクが安くなっているところが多くあります。時には半額のパブもあります。安く楽しみたい時はこれ利用するとよいです。なお、酒豪の方は、ハッピーアワーが終了する寸前は余分に2、3杯オーダーしましょう。これも COD の技です。
料理
日本人は飲むとおつまみが欲しくなる性分なので、日本のアイリッシュパブにも色々と料理があります。パブで楽しめるのはフィッシュ&チップスやアイリッシュシチューだけではありません。アイルランドといったらジャガイモですが、以下の料理を試してみては?
シェパーズパイ (Shepherd's Pie) |
: | ひき肉 (本来はラム使用) にマッシュポテトをのせてオーブンで焼いたもの。ちなみにシェパードは羊飼い |
ムール貝料理 | : | ダブリンの歌、モリー・マローン (Molly Malone) にもあるように Cockle や Mussel といった二枚貝はよく食べられています |
ブラウンブレッド (ソーダブレッド) |
: | これは生地を発酵させずに焼くアイルランドのパンです。これがケーキのような食感でおいしい。 |
スモークサーモン | : | アイルランドでは魚を食べない人でもスモークサーモンは結構食べます。ブラウンブレッドなどにのせるとおいしい。 |
グループで居酒屋スタイル
アイルランドでは一般的にパブでは食事をしません。でも、居酒屋文化のある日本ではそうも行きません。では、CODのアイリッシュパブで、居酒屋のようにグループで料理をシェアするにはどうしたら良いでしょう。料理が届くたびに誰が払うか相談するのは面倒です。そこで解決法です。皆で千円ずつお金をテーブルの上にプールして、そこから料理代をCODで払うのです。
上級者偏
Stool に座る
居酒屋ではテーブルごとに会計が違うため、他の人が外から加わってくることが出来ません。そんな出会いの少ない日本なので、合コンが必要になったのでしょう。アイリッシュパブを楽しく利用するコツは、ゆったりと腰掛けないことです。仲間でテーブルを囲んで「他人は入れないぞ」というスタイルではなく、スツールにちょっとおしりを乗せるくらいにして、顔見知りがいたらすぐにそちらと合流できるようにします。そうすれば新しい友人がどんどん増えます。尻軽が一番です。
Round (ラウンド)
アイリッシュパブは海外でも人気なので、日本でも外国人が多く来ています。そこで知り合った外国人にドリンクを買ってもらったら、ラウンドだと思った方が良いでしょう。その場の状況にもよりますが、互いにおごり合って楽しく飲むというのがラウンドの極意です。"It's my round" と言って気前よくおごれば好感度アップ。これ以上ラウンドにつきあえないと思ったら、切りの良いところで、後は自分のペースで飲むよと辞退します。女性の場合はラウンドを買うのを期待されていないかもしれませんが、男性はラウンドをお返しするように。 どの国でも、男は差別されてます。
Stout 給仕の匠
ギネスはグラスを45度に傾けて、2回に分けて注ぐというのはご存知でしょう。一度注いだギネスの泡が上がるのを待ってから、2回目でグラスの上まで注ぎます。サーブされた後もスタウトは泡が上がりきって(settle) ビールが黒くなりきるまで待ってから飲むのが基本。おいしく飲めます。なお、この泡を缶でも再現しようとしたのが、ギネスの缶生。うまく出来てます。缶の底に泡立て装置が入ってます。そこで男性諸氏へ。パブで女性と話が盛り上がった時はラガーに切り替えるべし。スタウトは注ぐのに時間がかかるので、ビールをオーダーしている間に逃げられちゃいます。
[ 2008年5月 パブ助 ]
アイリッシュパブ in Japan – リンク
私のアイリッシュパブ考
ダブリン市街のパブ
ソーダ・ブレッドのレシピ
アイリッシュ・シチューのレシピ
Magners Irish Cider : www.magners.com
Bulmers Irish Cider : www.bulmers.ie
Guinness : www.guinness.com