Taroさんのアイリッシュパブ観を紹介します。
Taroさんのアイリッシュパブ観を紹介します。
私のアイリッシュパブ考
世界的ブランド
アイリッシュ・パブは日本でビール会社の作り出した架空の販促用のコンセプトではないかと言う意見を聞いたことがありますが、そんなことはありません。アイリッシュ・パブは日本ではやる前から海外では大人気です。例えばアメリカでは、アイリッシュパブやイングリッシュパブと謳って、アイデンティティーを強調しているパブが多くあります。アイリッシュの人は良く思わないかもしれませんが、海外ではアイルランド人は大酒飲みで大らかというイメージから、楽しむのならアイリッシュパブという、ある意味一つのブランドになっているようです。
アイリッシュパブとイングリッシュパブ
そこでアイリッシュパブとイングリッシュパブとの違いは何かと言われますが難しい質問です。どちらも木の家具で木のぬくもりを強調した造りになっていて snug といった個室のような仕切りがあったりするところも同じです。店の名前の付け方が違うとか、出しているビールの種類が違うとかという意見もあって、もっともだと思いますが、私が個人的に考えている違いは雰囲気です。語源のパブリックハウスというところから気軽に入ってくつろげる場所というコンセプトは同じだと思いますが、このくつろぐ雰囲気にお国柄が出るのではないかと思います。
例えばイングリッシュパブは本棚があって古そうな本が多く並べられている書斎風なパブがあったり、古い建築様式で作られたパブに人気があったり、全体的に綺麗にまとまっている印象で、伝統を楽しむような雰囲気があります。
それに対してアイリッシュパブは、ダブリンには歴史的な理由からかジョージ王朝様式のパブもあったりしますが、全体的には素朴な造りのパブが多いようです。昔は薬屋で壁に薬の引出しがそのまま残っていたり、雑貨屋がそのままパブになったような内装だったり、置物も無造作に置かれていたりして、どちらかというと庶民的な雰囲気があります。
とは言うもののやはり厳密には定義しづらく、結局のところそこに集まる人がその雰囲気をつくる一番大きな要素になるということでしょうか。
パブとチッパー
日本のアイリッシュパブではフィッシュ&チップスやアイリッシュ・シチューなどが人気ですが、アイルランドでは基本的にはパブでは食事はしません。パブに食べ物はあってもサンドイッチ程度です。比較的大きなパブではトレーに選んだ食事をのせてもらう、パブ・ランチがありますが夜はありません。パブに行くときは食事をとってから行き、パブを終えておなかがすいていたら、チッパーと呼ばれるフィッシュ&チップス専門店でチップス (フライドポテト) を食べます。パブフードは日本の居酒屋の伝統からできた日本独自のパブ文化だと思います。おかげでアイルランドの食べ物が食べられます。
ラウンド
パブで友達とビールを飲むときは互いにおごりあって飲みます。例えば3人で飲みに行くと一人目が3人分を買います。この一グループ分をラウンドと言いますが、このラウンドが飲み終わるころに2人目が次のラウンドを買います。そして3人目と。結局、払う金額は同じになりますが、おごってもらっている時は気分が良いものです。パイントより小さいサイズをグラスと言いますが、男性はちょっとマッチョなところがあってグラスで飲むのは恥ずかしいと、無理そうでもパイントを注文です。ですから一通りラウンドが終わるころにはかなり飲むことになります。ラウンドは友達付き合いの潤滑油のようなものになっているようです。
こんなことを書いていたらパブに行きたくなってしまいましたのでこれにて失礼します。
[2004年6月 Taro]
Irish Pub Guide http://irishpubguide.com/
日本のアイリッシュパブの利用法
INJ – アイリッシュパブ in Japan