一度は見てみたい、本家アイルランド、ダブリンのセント・パトリックス・デー・パレード。これでパレードを訪れる際の準備完了。
前回のフェスティバルの舞台裏に続き、今度は一度は見てみたい、本家アイルランド、ダブリンのセント・パトリックス・デー・パレード。これでパレードを訪れる際の準備完了。
アイルランドではセント・パトリックス・デーはクリスマスに次いで大きな行事です。日本のラジオを聞いていると、アイルランドのセント・パトリックス・デーのことを紹介していましたが、そこでは「パレードはニューヨークで始まりました。アイルランドのパレードは1996年に始まってすっかり定着しました・・・」と言っていました。ニューヨークはいいですが、アイルランドのパレードは1920年代より行われています。恐らくダブリンのフェスティバルのウェブサイトを見て言っていたのでしょう。1996年に始まったのは政府主導のパレードです。パレードはダブリン市によって以前から行われていましたが、1995年になってからは政府主導で企画、運営されるようになりました。1996年に新生パレードが始まり、1997年からは名前を「セント・パトリックス・フェスティバル ( St. Patrick's Festival )」に変えて、1日だけではなく、3日間のイベントになりました。このフェスティバルは国内外の多くの人を魅了し、今では5日間に渡る祭典になりました。この期間はコンサートや映画、アイルランド語ワークショップやアート・エキシビションなど様々なイベントがダブリンの街中で行われます。そして、最後のハイライトがパレードになります。
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1993年のダブリンのパレードの様子 |
以前はアイルランド人自身よりも外国人、特にアメリカ人の観客やパレード参加者が多かったような印象でした。祖先の故郷、アイルランドに戻って錦を飾るという意味合いが強かったのでしょうか。メインステージの参加者紹介でも、「ニューヨーク州 xx バンドの皆さんです!」というように、アメリカからの参加者が多くパレードしていました。現在はずいぶんと派手になり、サンバあり、ヨーロッパの民族衣装的なものありといったインターナショナルな様相です。
アイルランドでは3月17日の聖パトリックの命日、セント・パトリックス・デーは祝日です。アイリッシュの間では通称、パディーズ・デー。教会に行く人もいれば、クロークパークに恒例のゲーリックフットボールとハーリングのクラブ・チャンピオンシップ・ファイナルの試合を見に行く人もいます。ダブリンの若者はパレードに対しては結構冷めていました。日本でも若者が伝統行事に無関心なのと同じように、「あれは子供が見に行くもんだ」といった感じです。でもフェスティバルとなった最近の盛り上がりはそんな雰囲気も変えました。また、この日はダブリンのパブが普段よりも遅くまで開いています。普段は午後11時には閉まっている地元のパブが、夜1時でも開いていたりします。
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町中がセントパトリックスデイ一色です。 |
グリーンのライトアップ |
あのファーストフード店もアイルランド色 |
キリスト教にレント ( Lent ) というイースターまで節制をする習慣があります。よくレントの期間はお酒を飲まないという人にアイルランドで会ったりしますが、セント・パトリックス・デーはそのレントの真ん中にあります。人によってはセント・パトリックス・デーはその節制を一時的に解いて、パブに行って喉を潤すという事もあるようです。中には箍が外れたようになっている人もいますが(笑)。
パレードのルートはダブリン、シティー・センター北のパーネルスクエアから、メインのオコンネル・ストリートを通ります。さらにトリニティーカレッジの前を曲がり、デイム・ストリートを進んで、クライスト・チャーチ大聖堂の前を曲がり、聖パトリック大聖堂までとつづきます。約4000人の参加者が練歩き、ダブリンは100万人の人出で溢れます。このパレードの時期、ダブリンの中心地のホテルは2、3ヶ月前からでも予約が取れるか分からない状態になります。
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パレード開始2時間前のオコンネル・ストリート
だんだん人が集まってきます。 |
パレード当日は少しでも良いところで見ようと観客が早くからルートに陣取りを始めます。GPO (中央郵便局) の横には来賓席も作られてメインステージとなります。
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パレード開始寸前。考えられる観覧スポットは全て人で埋まっています。観客も準備完了。 |
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町中のお土産店ではシャムロックのハットなど、パディーズ・デー・グッズが並んでいるので、それらを身に付ければ、その日は皆がアイリッシュに。そしていよいよ、フェスティバルのハイライトの、パレードが始まります。
17日お昼の12時にパレード開始です。グランドマーシャルがパレードをリードし、今風のセント・パトリックもいます。ガーダ(警察)の騎馬隊やアイルランド防衛軍の行進、そして消防隊のパイプ&ドラムバンドなどが続きます。
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テンプルバーの様子 |
パレードが終わってもお祭りはつづきます。無数にある町中のパブもこの日ばかりはフル回転。シティーセンターでは観光客とダブリナーと一緒に、パイントを片手にこの日はみんながアイリッシュ。
パブやクラブが集まるテンプルバー・エリアでは、通りが人で溢れ、日本の正月の初詣のような状態に。でも、あちこちに "レプリコーン (Leprechaun)" が歩いていて、紛れもなくアイルランド。
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力尽きて途中リタイアする人も。 |
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町中のあちこちで歌が自然に始まって、お祭りの楽しい雰囲気の中ダブリンの夜は更けて行きます。
この春を訪れを祝うお祭りは毎年工夫を凝らした新しい出し物で楽しませてくれます。アイルランドを楽しむならぜひ一度セント・パトリックス・フェスティバルを体験しなければ!
[ 2009年3月 Kaori & Taro]